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Fcitx5のセットアップ - Ubuntu 25.10

Ubuntu 25.10 (Questing Quokka)に日本語入力の環境をセットアップする手順を紹介します。

Ubuntuのインストール時に日本語を言語として選択した場合、デフォルトでも日本語が入力可能な状態になっていますが、あまり使い勝手がよくありません。 ここでは、もっと使いやすくて、おそらく最もよく使われているFcitx5とMozcの組み合わせを使えるようにします。

STEP 1: fcitx5-mozcパッケージのインストール

ターミナルで以下のコマンドを実行します。

$ sudo apt update
$ sudo apt install fcitx5-mozc

これだけでほとんどすべてのFcitx5とMozcを利用するために必要なパッケージがインストールされます。 しかし、この状態ではGTK2を利用するアプリケーションに対応していません。 追加でパッケージfcitx5-frontend-gtk2をインストールしておきます。

$ sudo apt install fcitx5-frontend-gtk2
現在ではGTK2を利用するアプリケーションはそう多くはないので、fcitx5-frontend-gtk2が必須であるとまでは言えないかもしれません。 しかし、インストールしておかないと、いずれ何かしらのGTK2を利用する古風なアプリケーションを利用することになったとき、まともにキーボード入力ができなかったりしてとても不愉快な思いをすることになりますので、あらかじめインストールしておくことをおすすめします。1)

STEP 2: im-configの実行

この時点ではまだ利用可能な状態になっていません。 im-configというコマンドを実行する必要があります。

$ im-config

設定のためのダイアログが表示されます。 基本的にすべてOKを選択していくだけですが、インプットメソッドのリストが表示されるところで「fcitx5」を選択します。

次のビデオは実際に操作しているところです。

im-configを完了したら、この時点で一度システムを再起動します。

ログインし直すだけでも良い可能性があります。 もし試してだめだったらシステムの再起動をしてください。

再ログイン後、テキストエディタなどで日本語が入力が可能になっていることを確認してください。 Ctrl + Spaceで入力モードを切り替えられます。

STEP 3: キーボードの設定

Fcitx5の初期設定では、英語キーボードが最初の状態になっています。

Figure 1: Fcitx設定ダイアログの初期設定 英語キーボードが最初の状態になっている
初期状態のFcitx5の設定ダイアログ

これを日本語キーボードが最初の状態になるように設定を変更します。

英語キーボードを使用している場合はこのセクションはスキップしてSTEP 4へ進んでください。
  1. 画面右上のトレイからキーボードの形を下アイコンをクリックして、設定を選択します。
  2. 設定ダイアログが表示されたら、「入力メソッド」タブで以下のように修正します。
    1. 左側のリストから「キーボード - 英語 (US)」を取り除きます。
    2. 右側のリストから「キーボード - 日本語」を選択して、左側のリストに追加します。
    3. 左側のリストで、追加した「キーボード - 日本語」が「Mozc」より上に来るようにします。
Figure 2: 設定を終えた状態のFcitx設定ダイアログ 日本語キーボードが最初の状態になっている
設定後のFcitx5の設定ダイアログ

次のビデオは実際に操作しているところです。

また、Fcitx設定ダイアログの「グローバルオプション」タブで、好みによって日本語入力モードの切り替えに使用するキーを変更することもできます。

Figure 3: 初期状態のFcitx設定ダイアログのグローバオプション Control+スペースなどが切り替えに割り当てられています。

例えば次のように変更することもできます。

Figure 4: 変更後のFcitx設定ダイアログのグローバオプション 全角/半角キーのみを使用するようにしてみました。

STEP 4: kimpanelのインストール

Fcitx5の設定はSTEP 3までで完了していますが、GNOME環境ではまだ完全ではありません。 kimpanelというGNOMEの拡張をインストールする必要があります。 kimpanelが有効でないと、ログイン時にポップアップ通知が表示されます。

Figure 5: ログイン時にkimpanelがインストールされていないと表示される通知メッセージ
ログイン時にkimpanelがインストールされていないと表示される通知メッセージ

kimpanelをインストールする手順は少し複雑です。

まず、FirefoxにGNOME Shell integrationという拡張機能をインストールする必要があります。 さらに、その拡張機能を有効にするためにはgnome-browser-connectorというパッケージがインストールされている必要があります。

必要な手順は以下のとおりです。

  1. aptでパッケージgnome-browser-connectorをインストールする
  2. Firefoxの拡張機能GNOME Shell integrationをインストールする
  3. GNOME Shell拡張機能のWebサイトでkimpanelをインストールする

gnome-browser-connectorのインストール

ターミナルで次のコマンドを実行します。

$ sudo apt install gnome-browser-connector

GNOME Shell integrationのインストール

  1. Firefoxを起動して、メニューから「拡張機能とテーマ」を選択します。
  2. 「アドンオンを検索」のテキストボックスに「gnome shell integration」と入力します。
  3. 検索結果から、作成者「Yuri Konotopov」の「GNOME Shell integration」を選択します。
  4. 「インストール」をクリックします。
Figure 6: 「アドンオンを検索」のテキストボックスに「gnome shell integration」と入力した結果
「gnome shell integration」の検索結果
Figure 7: 作成者「Yuri Konotopov」の「GNOME Shell integration」のページ
「GNOME Shell integration」のページ

kimpanelのインストール

kimpanelのインストール手順は次のとおりです。

  1. Firefoxのツールバーにある拡張機能のボタンから「GNOME Shell integration」を選択する。
  2. GNOME Shell 拡張機能のWebサイトに移動するので、「拡張機能を選択…」のテキストボックスに「kimpanel」と入力する。
  3. 検索結果から「Input Method Panel by csslayer」を選択する。
  4. 右側の「॥|OFF」をクリックする。
  5. 「インストールしますか?」と表示されたら、「インストール」を選択する。

テキストエディタなどで日本語が入力できることを確認します。

このとき、日本語入力状態になっているとき、画面右上のトレイのアイコンが次のようになっているならば、kimpanelが正しく機能しています。

kimpanelが有効

次のようになっていたら、kimpanelが機能していません。

kimpanelが無効

kimpanelのインストールのまとめ

次のビデオはkimpanelをインストールを最初から通してやっている様子です。

未解決の問題

kimpanelが有効であるにもかかわらずログイン時にポップアップ通知が表示される場合があります。 その場合、im-configで一度 none にしてから、再度 fcitx5 としたりすることで解決することがあります。

どのような状況で発生するのかも、確実な対処方法もまだわかっていません。

1)
Lazarusというアプリケーションでこの問題に遭遇しました。なかなか原因が特定できずにかなりの精神と時間を浪費した経験があります。
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